スマートトレーナー(XPLOVA・NOZA V)を買ってセッティングをした

 私が住んでいるところは本当にうんざりするくらい雨が降る。こちらで夏を過ごしたことはまだないが、周りの人間は口を揃えて「ここの夏はとても暑い」という。冬には雪が降る。困ったものだ。快適にロードバイクで走ることのできる機会は結構限られているのかもしれない。一応防水のサイクリングウェアは持っているが、だからといって雨の日でも果敢に走りに行くことができるようになるわけではない。大体、私は初心者だし、雨の日なんて危険だから走りたくない。かといって、運動不足になるのは嫌だ。身体がムズムズして気持ちが悪くなるし、精神的にも良くない。

 

 ということで、スマートトレーナーを買った。これで雨が降ろうが雪が降ろうが、蛙が降ってきても部屋で自転車を漕ぐことができる。高い買い物だったが、せっかく買ったロードバイクなのだから、漕ぐ機会は多く持ちたい。スマートトレーナーについて調べてみると、XPLOVAのNOZA Vが自分には合っていそうだったので、これを買った。

デカイ(箱及び生活感の主張)

 

 届いたその日にセッティングをしたが、これが大変な作業だった。何せ私はロードバイクの整備や手入れといえば空気入れとペダル交換くらいしか経験がない人間だったので、全ての工程が初体験だったのだ。この記事は、そんな私と同じように、「ロクにロードバイクのメンテナンスもしたことがないけれどスマートトレーナーにバイクをマウントさせたい」という人のためのものだ。ディスクブレーキ仕様のロードバイクであることを前提で書く。また、各工程のノウハウはプロが解説している動画を見る方が断然分かりやすいだろうから、そちらを見てほしい。一応、各工程において私が参考にさせてもらった中でも一番分かりやすかった動画のリンクを貼るようにする。本記事では、動画を見ても解決しなかった細かい注意点について主に書いていくつもりだ。かゆいところに手が届く記事になれば幸いである。NOZA Vのインプレ記事ではないので注意。

 

 以下が工程だ。

 

1 必要な道具を準備する

⑴ NOZA V本体

⑵ スプロケット

 タイヤからいちいちスプロケットを外すのは面倒なので、スマートトレーナー用のスプロケットを用意した方がよい。また、必ず自分のバイクの変速の数に対応したスプロケット(リアディレイラーが12段変速なら、12枚組のスプロケットを買う)を買おう。私の105はR7100で12段変速なのだが、間違って11枚組のスプロケットを買って返品しなければならなくなった上、「後輪に着いているスプロケットを外す」という手間が増えてしまった。

⑶ スプロケット取り付け/取り外しセット

 BIKE HANDというメーカーのものが安かったのでそれにした。

⑶ チェーン掃除用具

 amazonでAZの「自転車オールメンテナンス5点セット」というものが売っているのでそれがおすすめ。ニトリルグローブやワイプオールがあるとなお良い。

⑷ メンテナンススタンド

 私はスタンドなしでやったが、あった方が絶対にいい。セッティングの後になって必要性を痛感して購入した。もっと早く買っておくべきだった。

⑸ ロングサイズの六角レンチ

 あった方がよい。必要性についての詳細は後述する。

⑹ 防音マット

 床への傷や汚れ防止の意味でも買っておこう。

⑺ パッドスペーサー

 タイヤを外した後、ブレーキパッドが閉じてしまうのを防ぐため。

 

2 NOZA V本体のセッティングを行う

 基本的には説明書に従えばOK(分かりやすい説明書とはいえないが)。デフォルトではクイックリリース用のアダプターAがはめられているので、アダプターC、Dを取り付ける必要がある(リムブレーキ仕様のロードバイクを使う人は、アダプターAはそのままにして、アダプターBを反対側に取り付ければよい)。

 私は視覚情報の処理が苦手で(IQテストを受けたときにやたら点数が低かった)、アダプターCを取り付ける際、付属のレンチがどうやってもアダプターCにはまらず困り果てていたのが、なんのことはなく、アダプターCに掘られている溝(?)とレンチの形を合わせればよいだけだった。

 また、アダプターDを取り付ける際であるが、ロードバイクユーザーはスペーサーリングは取り付けなくてよい(大体において。多分。)。ロードバイクの車軸のサイズの主流が142mmであるためだ。マウンテンバイクなどは148mmが主流のようなので、スペーサーリングを取り付ける必要があると思われる。説明書には「142W」「148W」などと書かれているが、これは誤植だろう。私はよく分からずにとりあえずスペーサーリングを取り付けた状態でバイク本体をマウントし、スルーアクスルの長さが足りていないのを見て、初めてスペーサーリングが必要なかったのだと気がついた。もう一度作業をやり直すのは大変面倒だった。注意である。

 

3 ロードバイクを洗う(必要に応じて)

 汚い状態で部屋に入れたくない人は、是非洗おう。

 チェーン掃除についての参考動画はこちら。動画で紹介されている洗浄機はかなり使いやすいのでおすすめ。私はメンテナンススタンドを持っておらず、ペダルを逆回転させながらこの作業を行ったが、チェーンが外れやすくなるし、何かと負担がかかると思われるので、メンテナンススタンドの購入を強く推奨する。

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4 ロードバイクの後輪を外す

⑴ ギアを一番外側に入れる(重いギアに入れる)

⑵ スルーアクスルを引き抜く 

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 一番苦労した作業かもしれない。私の場合はそもそも前提を間違えていて、ロードバイクという乗り物は全てクイックリリースなる機構を搭載していると思い込んでいた。念のため言及しておくが、ディスクブレーキ仕様であればスルーアクスルを採用しており、リムブレーキ仕様であればクイックリリースを採用している。漫画『シャカリキ!』において、ロードバイクを盗もうとした不良が簡単にタイヤを外したシーンがあったことが印象に残っているのと、いつか輪行をしようと思ってタイヤの外し方を調べたところ、「クイックリリース」という言葉がまずヒットしたため、私の中では「ロードバイク=5秒もあればタイヤが外せる」という認識になっていた。『シャカリキ!』は30年以上前の漫画で、現行のロードバイクリムブレーキ仕様ではなくディスクブレーキ仕様だ。嗚呼。

 クイックリリースもスルーアクスルも同じ「車軸」であるが、クイックリリースが道具なしで外せることに対し、スルーアクスルを外すには六角レンチが必要だ。私のロードバイクはディスクブレーキ仕様なのでスルーアクスルを採用している訳なのだが、クイックリリースが採用されていると勘違いしていた私は、スルーアクスルの取手(スルーアクスルにおいても「レバー」と呼称するのかもしれないが、便宜上、スルーアクスルの方を取手、クイックリリースの方をレバーとする)をクイックリリースのレバーと勘違いして、レバー(と思い込んでいる取手)を立ち上げようとしたり、押したり引いたりとバカなことをして時間を使ってしまった。加えて、「ロードバイク 後輪 外し方」と検索すると、「ブレーキをフリーにする」「ブレーキを解放する」などという文言が出てくるが、これはリムブレーキでの話なので、ディスクブレーキユーザーは無視してよい。

 さて、動画を見てスルーアクスルの構造をやっと理解した私は、取手と逆方向の穴へいそいそと六角レンチを差し込み、回そうとするのだが、これがバカみたいに固く、全く回る気配がなかった。右側のペダルを交換したときも信じられないくらい固かったが、スルーアクスルも同じくらい固かったと思う。私の持っている六角レンチは動画のように立派ではなく小型なのでトルクがかけられず、回そうにも手の方が先に痛くなってしまってどうにもならなかった。手が痛い、もうどうにもならない、ロングサイズの六角レンチを買いに行く元気もない、かといってamazonで頼むとなると作業が中断されて、もう二度と再開する気がなくなるかも、、、と憂慮している方がいたら、ちょっと待ってほしい。あなたのスルーアクスルにもし取手がついているのなら、力を込めて(されど慎重に)、踵でぐっと踏み押してみてはどうだろう。私はこれで驚くほど簡単に回った。ロングサイズの六角レンチはそのうち買おうと思っている。

⑷ バイクをひっくり返す

 動画のように自転車を立てたまま作業できない人は、ひっくり返してしまった方がやりやすい。

⑸ リアディレイラーを慎重に後ろに引き、タイヤを上へ引き上げて外す

 上に引き上げて、というのは車体をひっくり返しているのが前提になっているためである。動画は車体を立てたまま作業しているが、リアディレイラーの動かし方などは参考になると思う。

 

 ようやくタイヤが外れた。スルーアクスルについて熱く語りすぎてしまったが、もう少しだ。

 

5 スプロケットを準備する

⑴ 後輪からスプロケットを外す

 スマートトレーナー用のスプロケットが用意できている人は⑵へ飛ぼう。私は先述のとおりスプロケットの用意でミスっているので、この工程が追加された形となる。 動画を見れば分かるが、スプロケットは取り外すとバラバラになるので、スペーサー(黒い輪っか)などを紛失しないように注意だ。

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⑵ スマートトレーナーへスプロケットを取り付ける

 やり方は上の動画を参考にすればよい。スマートトレーナーの側のフリーホイール(スプロケットをはめていく軸)の凸凹をよく見ると、1箇所だけパターンが違う場所がある。次に、スプロケットの歯の当たりをよく見ると「▽」マークが刻まれているので、そこを先述の違うパターンの箇所に合わせるとうまくいく。

 動画のようタイヤにスプロケットを取り付ける際には、手でタイヤを押さえればレンチを回すことが出来る。しかしスマートトレーナーの場合、チェーンが着いている方の道具(何という名前なのだろう)も使ってスプロケットが回転するのを防がないと、レンチで締め込むことができない。動画のおいてスプロケットを外している際と逆の要領でやってみればうまく取り付けられるはずだ。

 

6 ロードバイクをスマートトレーナーへマウントする

⑴ ロードバイクのチェーンをスマートトレーナーに取り付けたスプロケットにかける

 チェーンのかけ方については4で紹介した動画の要領でやればよいと思う。私はスルーアクスルに苦しめられたので、とにかくスルーアクスルを締め込めば一連の作業は終わりだという強迫観念に取り憑かれて、⑵の作業へ急ぐあまりチェーンをかけずにスルーアクスルを締め込んでしまい、やりなおしとなった。もっというと、2で言及したスペーサーリングを付けていたために、どちらにせよやり直しだったのであるが。

⑵ スルーアクスルを締め込む

 作業終了。お疲れさまでした。

 

【感想】

 とても疲れた。私はジムに通っていて、以前に比べるとかなり筋肉質な身体になってきたのだが、スルーアクスルひとつ回せなかったのは少々悲しかった。けれど踵で回せたのだ。下半身のパワーというのはすごい。10年以上前に「人の脚力をもってすれば、ジャイアントパンダクラスの動物となら何とか勝負できる」などと言っている2ちゃんねらーがいたが、あながち嘘ではないのかもしれない。疲れはしたが、ロードバイクの構造の勉強になったし、ライド中に後輪がパンクするなどしても今後は何とかなりそうだ(肝心のチューブの付け外しの練習は未履修)。

 ロードバイクを趣味にしていると何かと必要な道具が出てきて、あれこれ買い揃えているのだが、台湾製品の多さに驚いている。今回紹介したXPLOVAもBIKE HANDも台湾企業だし、私が使っているなかではMERIDA(ロードバイク本体)、TOPEAK(サドルバッグ、ボトルケージ、空気入れ)、Bryton(サイコン)が台湾企業である。GIANTとMERIDAをはじめ、台湾は本当に自転車関連会社が多いのだろう。正直、最初は「台湾製か・・・」と思ったけれども、今ではメイドイン台湾はとても信頼できる製品だと感じている。MERIDAに乗っているので推しのチームはバーレーン・ヴィクトリアスである。先日のパリルーベではフレッド・ライトが9位でフィニッシュしていた。結構喜んだ。ロードバイクを始めてから台湾にとても親近感が沸いた(勝手な奴だ)。あんなに急峻な国土なのに、自転車大国というところが熱い。玉山(標高3,952m)にヒルクライムする人とかいるのだろうか。

 長い記事だったがリズミカルに書けた。ハウツー記事はあまり書いていて楽しくなさそうだと思っていたが、結構楽しい。そのうち、Brytonのサイコンのことなども書いてみたい。私はS800を使っており、中々度し難い挙動をされて困っているのだが、Brytonに関してはあまりハウツー記事が見つからないので、自分で使い込んで紹介できたらなと思っている(思うだけになるかもしれない)。