久々に走った

 

 今年は本厄だったかと思うほど悪いことが立て続けに起こった。主に仕事で。流石にもうこの辺でやめにしてほしい。特に2~3月の辺りはメンタルのダメージがかなり大きくて、身体へのダメージでそれをマスキングしてしまおうと思い、ジムのランニングマシンでひたすら走っていた。1回で10kmくらい走っていた。週に50km走ることもあった。こんなに走ったのは中学校で部活をしていたとき以来だったから、自分も走ろうと思えばまだいけるもんだなと少し嬉しくなった。

 

 4月からはウエイトトレーニングに本腰を入れ始めて、ジムで走る時間が確保しづらくなった。マシンで10km走ろうと思うと、私の場合は50分くらいかかる。週2回のジム通いで、基本的に全身を鍛えるようにしているから、ウエイトトレーニングだけで2時間くらいかかるのだ。そこから走るには流石に時間がとれなかった。

 

 しばらく走るのを止めて、7月頃にタンクトップで外に走りにいったことがあった。急に肌を焼きたくなったからだった。土日の朝に1.5時間くらい走ることを2週間だけやった。そこそこ日焼けできたのと、それ以降は暑くなりすぎてしまったからずっと走らないでいた。

 

 そんなこんなで、涼しくなってきたから今朝走りに出たのだが、当然ながら体力がかなり落ちてしまっていた。ものの3km程走っただけでヘロヘロになった。心肺というより脚がついてこない。これは7月に外で走ったときにも感じたことだが、マシンでばかり走っていると、外で走ったときの脚の疲れ具合に驚く。特段傾斜を感じるようなコースにしてはいないのだが、マシンで走るのと比べて、外で走るときは路面状況に合わせて細かに身体を調整する必要があるからなのか、明らかに筋肉が疲れる。机上の空論を教室で振り回していた秀才が現場では何もできない、みたいな描写はありがちだが、まさにそんな感じだ。まあ、私の場合は単純に走り込みの絶対量が全く足りていないということが大きいとは思う。

 

 それにしても、ウエイトトレーニングの方は特にさぼっていないので、しっかりバーベルスクワットをしているにもかかわらず、少しのランニングでこんなに脚が疲弊することを思うと、つくづく速筋と遅筋の働きは別物なんだと思い知らされる。元々、私はジムに通い始めた頃はウエイトトレーニングよりもマシンでのランニングに比重を置いていたのだが、最近はそれが完全に逆転している。有酸素運動がもたらす筋肉への影響についての科学的考察の内容は、株式相場くらい変動が激しい気がするし、何を信じたらいいのかいまいち分からない。とはいえ、たった3km程度でバテてしまうという事実には、何か生き物としてのプライドを傷つけられたような気分になったので、また少し走ることに注力してみようと思った次第だ。

 

 ときどきインスタグラムで彫刻のような筋肉をした男たちがロードバイクでのサイクリングに精を出している動画を見るが、彼らは如何にして筋肉と過酷な有酸素運動を両立させているのだろう。それとも巷で言われるカタボリックについての悲劇的なまでの恐怖というのは、ボディビルダークラスの筋肉を追い求める際には気を払うべきことであって、一般的に見て十分スタイリッシュでカッコいい身体を目指しているのなら、むしろ有酸素は積極的に行うべき運動ということなのだろうか。登山をしているときに横を追い越していくトレイルランナーなどは一様にはじける笑顔ともの凄い筋肉の持ち主だし。一度、水彩画で有名な柴崎先生に似たルックスのおじいちゃんが横を走り抜けていったことがあったが、カーフと三角筋がやたらデカくて、私は刃牙が範馬勇一郎を初めて見たときのような表情でそれを見ていた。

 

 色々な情報に頭をやられてしまった気がする。そもそも私には走ることによって筋肉が溶けるだの騒ぎ立てるほどの筋肉量はないと思う。走ることが身体に悪いということはまあ基本的はないと思う。よほど長距離を走る人なら膝に悩みを抱えたりすることはあるんだろうけど。家でだらっと1時間過ごすなら、外で30分走った方がよほど良いと思う。分かってもそれができないのが人間なのだが。悩ましい。