トレーニングと最近買ったもの

 私は中学生の途中で部活を辞めて以来、しばらく運動とは距離を置いた生活を送ってきたのだが、約1年前からランニングをしたり縄跳びをしたりし始め、それから程なくしてジムに入会し、筋トレもするようになった。思えば、大学に入学してからも4月を迎える度に運動習慣を身につけようとしては挫折を繰り返していた気がする。大学1年生のときにランニングセット一式を買ったものの、上着にどぎつい蛍光グリーンのTシャツをチョイスし、それがあまりにも似合っていなかったのに嫌気がさして、走るのを止めた思い出がある。一体何を考えていたのだろうか。

 

 大学時代、運動習慣を身につけること以上に希求していたことがある。当時はそのことに対して「ちゃんとした生活をしたい」という曖昧な目標を掲げていた。それは自炊をするとか、金銭感覚を身につけるとか、部屋を整理整頓するとか、色々な目標を包含していたように思う。悲しいかな、非常にフラついた大学生活を送っていたので、当時には今の私でいうところの仕事や勉強のような軸足の置き場所となる活動が存在せず、自炊も金銭感覚も整理整頓も何もかもが低レベルだった。ほぼ毎食コンビニ、欲望の赴くままに買い物、足の踏み場がない部屋。

 

 そんな環境で運動習慣が身につかなかったのは然るべきと言えよう。私の中では運動も自炊や整理整頓と同じく「自分で自分の面倒を見る行為」にカテゴライズされるものだと考えているのだが、習慣化できるかという観点では運動はちょっと特殊だと思う。例えば、今まで一度も飯を作ったことのない人間が目玉焼きを焼いてみようと思った場合と、今までまともに身体を動かしたことのなかった人間が3キロ走ってみようと思った場合を想定してみる。

 

 前者はフライパンに油を引くことを忘れて、強火で卵を焼いているとフライパンに張り付いてしまい、それを剥がそうとするうちにみるみる卵が焦げ始め、作業を焦るあまり卵を皿に移す頃には黄味も白身もボロボロになっているだろう。焦げ混じりでグズグズの白身、黄味がカスカス、なのにカラザ周辺だけはやけにドロドロ、見た目は最悪で、美味しいはずもない。

 

 後者は500m地点でポーチ内で暴れ回るスマホに嫌気がさし、1キロ走ったくらいで土踏まずがピリつきはじめ、次第に脛まで痛くなってきて、急に情けないストライドになる。間もなく喉のあたりに血の味がしはじめ、息が上がって走るどころではなくなる。#nikerunningで検索すると表示されるようなスタイリッシュなランニングを想定していたのかもしれないが、笑顔で走るどころか、己の肉体のあまりの弱さに打ちひしがれ、このシューズ結構高かったんだけどな、みたいな虚しい気持ちにすらなる。それでも走り続けようとするも、もはや歩くので精一杯だ。少し回復した頃合いかと思って走り始めても、またすぐにバテる。そんなことを繰り返すうち、もう3キロどころか5キロくらい走ったのではないかと歩数計を確認すると、2キロちょっとしか走っていなかった・・・。

 

 前者が負うダメージが紙の端で指を切ったくらいだとすると、後者はNFLの選手に全力でタックルをかまされたくらいのダメージを負うと思う。運動のし始めは本当に辛い。別にこんな辛い思いをしてまでやりたいことではないよな・・・なんて思考に陥りやすい。私が曲がりながらにも運動習慣を維持できているのは、デスクワークと勉強による連鎖的な不調(肩こり、腰痛、緊張性頭痛)がたった1回のランニングで嘘のように消えてしまったことと、季節の変わり目に体調を崩すことがなくなったという明確なメリットを感じられたからだ。そのうち走るのがどんどん楽しくなってきて、雨の日も気兼ねなく走りたいなと思ってジムに加入した。そして暇つぶし程度にやっていたウェイトトレーニングにはまってしまい、今では走りにいくというより筋トレのためにジムにいっている。走るのは相変わらず好きなのだが、走り始めると1時間くらいは走っていたくなってしまうので、どうしてもジム滞在時間が長くなりすぎるのが難しい。その辺の問題は、ランニングではないので完全な代替ではないが、Zwiftをやるなどして解消していきたい。

 

 さて、走ることに加えて筋トレもしはじめたわけだが、そうすると「折角ならより筋肉のつきやすくなる食事を」という発想になる。1日に120gを目安にタンパク質を摂るようにしている。今日は気合い入れて追い込むぞ、という日にはスーパーでお手頃価格の赤身肉を買ってきて、ステーキにして食べたりする。全身の筋肉を追い込んだ後にレアに焼いた肉を食っていると”生きてる”感じがしてとても良い気分になる。引越のどさくさでナイフを紛失してしまって、食べにくさゆえにステーキタイムのプレミア感をいくらか削がれる感じがしたので、前から欲しいなと思っていた柳宗理のカトラリーセットを買った。

 

 ミニマルながらもユニーク。素晴らしいデザインだと思う。次にステーキを焼くのが楽しみだ。これがあるおかげでパスタを作るのも楽しみになった。

 

 「ちゃんとした生活をしたい」ことを追い求めていたことについては冒頭に書いたとおりだが、今では理想像に多少は近づくことができたと思っている。少なくとも大学時代に比べれば遥かにまともな生活を送っている。ここ2~3年で自律心がかなり向上した。そんなことを考えているとカトラリーに加えて他にもいくつか願掛けなアイテムを買って、自分のレベルアップに資するような生活を送りたいなんて思い始めた。

 

 ということでまずミカサのカップ&ソーサー。アラベラという柄らしい。珈琲もお茶もよく飲むのだが、マグカップだとどうしても大量になってしまうので、ちょっとだけ飲みたいとき用にソーサー付きのカップが欲しいなと前から考えていたのだが、気に入ったデザインのものが中々見つからなかった。

 ボタニカル柄が気になりつつも、ファンシーすぎたりトラディショナルすぎたりするものが多い中、アラベラは程よくシックな印象があって気に入っている。

 

 

 次にCOCのグリッパー。急にゴツめのアイテム。握力系YouTuberのトレーニング動画を観ていたら、所作がやたらカッコよくて真似したくなったので購入。結構良い値段だが、インダストリアルなデザインでカッコいい。筋トレによって上半身が以前に比べてかなりごつくなってきたものの、筋肉の発達具合に左右差(右の方がデカい)が生まれてきており、このままだとシオマネキみたいな身体にならないとも限らないので、フォームの見直しをしなければならない。左の握力が弱いことも一因としてあるのかなーなんて思うので、こいつを使って握力のトレーニングにも励みたいところ。

 

 

 1(63kg)と1.5(75kg)を買った。もともと持っていたグリッパーが強さを5kg~60kgで調整できるタイプで、60kgを割と簡単に閉じられていたのでまあ1はクローズできるだろうと思っていたのだが、これが想像以上に固く、限界のパワーで握ってもギリギリクローズできない。もともとのグリッパーはかなり安物だったので数値はあまりアテにできなかったのかもしれない。こうなってくるともっと下の0.5やトレーナーも欲しくなってきたり。沼かもしれない。握力沼。1年後くらいに2をクローズできるくらいを目標にしようかな。